MT5の価格データの基本構造

MetaTrader 5（MT5）は、金融市場での取引において、価格データの透明性と精度を重視しています。取引プラットフォーム上では、主に以下の3種類の価格が提供されます：

• 売値（Ask）：トレーダーが資産を購入できる最低価格。
• 買値（Bid）：トレーダーが資産を売却できる最高価格。
• 最後の取引価格（Last）：直近の取引が成立した価格。

これらの価格は、取引所市場や店頭取引（OTC）市場の特性に応じて、リアルタイムで更新され、チャートや市場の深さ（Market Depth）などの機能を通じて視覚的に表示されます。

市場の深さと価格形成の仕組み

MT5は、市場の深さ（DOM: Depth of Market）機能を通じて、価格形成の透明性を提供します。市場の深さは、特定の価格レベルでの買い注文と売り注文の量を示し、以下のような特徴があります：

• 取引所市場：市場参加者の限度注文に基づき、売値と買値が形成されます。すべての注文と取引履歴が取引所に記録されます。
• OTC市場：ディーラーが提供する価格に基づき、売値と買値が形成されます。取引所とは異なり、取引履歴の中央集権的な記録は存在しません。

このように、MT5は市場の種類に応じた価格形成のメカニズムを採用し、トレーダーに対して正確な市場情報を提供しています。

価格チャートと時間軸の構成

MT5では、価格チャートの構成において、1分足のデータを基礎としています。これにより、以下のような詳細な価格情報が提供されます：

• 始値（Open）：特定の時間枠の最初の取引価格。
• 高値（High）：特定の時間枠内での最高取引価格。
• 安値（Low）：特定の時間枠内での最低取引価格。
• 終値（Close）：特定の時間枠の最後の取引価格。

これらのデータは、1分足から月足までの21種類の時間軸で表示可能であり、トレーダーは自身の取引スタイルに応じて最適な時間軸を選択できます。

価格データの保存と再利用

MT5は、効率的なデータ管理を実現するため、1分足の価格データのみを保存し、他の時間軸のデータはこの1分足データから動的に生成されます。このアプローチにより、以下の利点があります：

• データの一貫性と整合性の確保。
• ディスク容量とネットワーク帯域の節約。
• 高速なデータアクセスとチャート描画の実現。

このようなデータ管理手法により、MT5は高性能な取引環境を提供しています。

価格データのセキュリティと信頼性

MT5は、価格データのセキュリティと信頼性を確保するため、以下の技術的対策を講じています：

• データ暗号化：すべてのデータ通信は128ビットの暗号化技術を使用して保護されます。
• リアルタイム更新：価格データはリアルタイムで更新され、トレーダーに最新の市場情報を提供します。
• 高可用性：サーバーの冗長構成により、常に安定した取引環境を維持します。

これらの対策により、MT5はトレーダーに対して安全で信頼性の高い取引プラットフォームを提供しています。